塗料需要からみた建築塗装

昭和55年度通産省塗料製造業実態調査における塗料需要構成比によると、建物の需要は25。6%、橋梁・タンクなど構造物に6。1%が用いられ塗装業者が消費する塗料は31。7%の高い比率を示している。

この需要は年々大幅に増幅するものと考えられるので、日本の建築塗装業の振興は将来に大きく期待されている。

特に近年において漣築物の畝餉上と保全の研究が官民を通して1つの運動として展開されてきている。

このことは、新設はもちろん、既存建物・建造物の塗料による塗替保全の需要が急速に増大されることが期待されている。

世界第3位の生産量は55年度において、年産150万tであり、その内47万t余を建設塗装の分野で消化しているのが実情である。

建築・構造物塗料の需要は過去10か年の趨勢をみると、表3-1のとおり着実にその需要量の比率が顕著に増大していることを知るのである。

さらに各家庭において、自分で塗るという習慣も逐次定着しつつあるので、この分野を加算すると、塗料生産量の35%が建築・構造物に消費されていると判断される。

概説で述べたように、防水工事も塗膜防水工事が開発され、各種合成樹脂メーカが塗料メーカとは別に防水材として製造し、市場において施工業者に消費されている量も急速にその生産量が増加している。

さらに吹付材および吹付塗工事は近年、仕上材工業会として塗料工業会とは別に組織した製造業者の生産量も急増の傾向にあり、左官材料として定着していた各種無機質系塗材も、その形と質を変えながら、塗装技術・技能をそのまま発展させる枠内で施工が可能になってきている。

吹付塗材と呼ばれる塗装材料は、必ずしも吹付けによる塗装に限られたものではなく、各種ローラによってその施工が行われるように変化している。

吹付材工業会は、名称も仕上材工業会に発展し、顧客として、塗装業者・吹付専業者・左官専業者に呼びかけをしている実情である。

ある時までは、無機質塗材は左官の領分であり、無機質塗材は塗料ではないなどということが巷間話題になって論議されたのも、建築仕上技術変革の1過程であった。

塗装技能者も在来の技能に加えて、新しい材料・工法を消化吸収して、これからの多彩な仕上工事を担当し得るように努力しているのが業界の昨今の姿である。

このような環境において、建築塗装技能者は、その技能要素のなかに、木材・鉄材・塗壁材や広範囲の素材を塗れる状態に加工する素地ごしらえの技能を伝統的に持っている。

さらに液体の塗料やパテのような高粘度の補助材料を固体化して行く、塗装の基礎技能を持っているので仕上材料が変化しても容易にこれに順応し得る。

最も特色ある技能として、色彩や造形のデザインを見本にならって表現して行ける固有の技能要素がある。

建築塗装技術・技能の立場から、このように考えられるのであるが、企業内に新しい技術、技能を身につけさせた技能労働力を蓄積して、生産活動の内容を充実して行くことは容易な業ではなく「技能労働者の育成と確保」が業界の合言葉となっている。

スペースコレクション型塗装工事業は伝統的に材工一式の請負契約にまって生産を進めてきた。

新築工事の下請負だけでなく、施主から直接請負契約をする独立性も持っている。

このことは、自ら社会に需要を喚起するために啓蒙宣伝の術を身につけ、業界の地歩の拡充を進めることが可能であり、塗装工業の将来には、輝かしいものが約束されている。

塗料工業の発展とともに塗装は単に、素材の保護と美装という使命以外に防音・防水・断熱など、建築に求められる諸機能を創造して行く分野が一層拡大して行くに違いない。

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